誰かに教えたくなる蔵物語

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誰かに教えたくなる蔵物語

芋焼酎づくりのためにサツマイモ栽培に挑戦

 
平下社長に聴きました。なぜ今回の出品は「池の露」ではなかったのですかと。答えは深刻なものでした。平成30年に国内で発生が確認されたサツマイモ基腐病(もとぐされびょう)が全国に拡大し、原料のサツマイモの確保ができなくなっているのです。糸状菌のカビが葉や茎を枯らし、サツマイモを腐らせる病気で、令和2年には熊本県内にも広がりました。芋焼酎の本場、鹿児島や宮崎でも深刻な事態になっているようです。
 
それでも平下社長はくじけていません。蔵の近くの高台から周囲を見渡し「ここから見える範囲を全部、芋畑にします。これからは農業です」。原材料を自社栽培に切り替えていくのだと言います。今も収穫量は少ないのですが、サツマイモの生産を始めました。東京農業大学の醸造科学科で焼酎造りを学んだ平下社長ですが、サツマイモ作りは未知の世界。「しっかり勉強して全量自社栽培できるよう、農業に力を入れます」と決意を新たにしています。
 
秋になるとサツマイモの収穫が始まります。米や麦と違いサツマイモは取り置きが難しいので新鮮なうちに蒸留をしなければなりません。収穫から即、蒸留の作業に入ります。平下社長はしばらく蔵に泊まり込みになるそうです。

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